『何を基準に万年筆を選んでいいかさっぱり分からない、、、』という問題に万年筆初心者は共通してぶつかります。
万年筆は価格の幅が広く、国内・海外のメーカーがあり、種類も豊富なため初心者が選ぶのは本当に難しいです。
”選び方”を知るには、万年筆を”理解”するのが早道です。
万年筆の基本を”理解”するためのポイントを書きたいと思います。
時間の無い方は、以下記事の”ポイント!”の部分だけ読むことで万年筆購入時のポイントを簡単に理解できるようにしてあります。
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おすすめの国産万年筆
まず万年筆の理解の前に気の早い人のためにおすすめの国産 万年筆を紹介します。
なぜこの万年筆がオススメなのかについては後述の部分をぜひご覧ください。
PILOT カスタムヘリテイジ912(CUSTOM HERITAGE 912)
文房具のイメージの強いPILOTですが、老舗文具メーカーらしくオールレンジな万年筆を用意しています。
その中でもこの『カスタムヘリテイジ912』はペン先は14金のロジウム仕上げ、カートリッジ式インキ、ペン先字幅は15種類のラインアップ(EF、Fのペン先字幅ももちろんあります)を揃えるという万年筆初心者のみならず、熟練者にも満足いく一本です。
PILOT カスタム742(CUSTOM 742)
こちらは『カスタムヘリテイジ912』とデザインのみ異なる『カスタム742』です。
『カスタムヘリテイジ912』との違いはグラックとディープ・レッドの2色展開な点、及びデザインが丸みをおびた葉巻型であり金具が金色となります。基本性能については全て『カスタムヘリテイジ912』と同じとなります。
万年筆といったら葉巻型で金色なので、万年筆の王道を選びたい方にはこちらがオススメです。
SAILOR プロフィット21
SAILOR(水兵)をイメージした錨のマークの万年筆メーカーです。
同一価格帯では珍しい21金のペン先を持ち、かつ長刀研ぎという一本で細字から太字までを書き分けられる特殊なペン先をもつ個性的な万年筆もライナップしています。
『プロフィット21』の特筆すべき点は他にはない21金というしなやかなペン先を持っている点です。
それでありながらペン先字幅としてもEF、Fを持ち、カートリッジ式インキという基本をおさえています。
高級ペン先を持ちながら日常使いができる使い勝手のよい万年筆を求めている人にオススメです。
プラチナ万年筆 #3776センチュリー
一般文具メーカーと比較するとプラチナ万年筆の周知度は低いですが、国産万年筆メーカーとしては有名です。
プラチナ万年筆で特筆すべき点はキャップ部分に組み込まれた『スリップシール機構』です。
万年筆の敵である乾燥によりインク乾きをこの機構は防止します。通常万年筆だと3〜4ヶ月放置すると書けなくなるところを2年以上放置しても書くことを可能としています。
『スリップシール機構』組み込みながら、14金ペン先、ペン先字幅としてEF、Fもあり、カートリッジ式インキという基本をおさえた作りになっています。
又、スケルトン素材のデザイン性に富んだライナップがある点も好感が持てます。
他人とはちょっと違った万年筆を持ちたい人にオススメの万年筆となります。
"国産 万年筆"の特性を理解する。
万年筆メーカーには大きく、国産メーカーと海外メーカーがあります。
モンブランやパーカーなど認知度の高い万年筆の老舗メーカーのほとんどは海外メーカーです。
海外メーカーの万年筆は国産メーカーにはない、軸の色や装飾があり高級感があります。
しかし、万年筆初心者には敢えて ”国産万年筆” をおすすめします。
海外メーカーの万年筆はアルファベットなど比較的字画の少ない文字を書くことを前提としています。
一方、国産メーカーの万年筆は漢字など字画の多い文字を書く前提でペン先が設計されています。
つまり日本語を書くのに国産万年筆は最適なのです。
日本語メインなら国産万年筆を選ぼう!
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万年筆の機能性を理解する。
次に万年筆の機能性についてもう少し詳しく紹介したいと思います。
ペン先の太さについて
ペン先には極細から極太まで様々な設定があります。日常生活での使用では、メモとったり、手帳に書き込んだりなど細かい文字を書くことが多いため、ペン先の太さとしてEFかFの太さがおすすめです。
【太い】
↑
B :太字
M :中字
MF:中細
F :細
EF:極細
↓
【細い】
これよりも太くなると細かい字がつぶれてしまいます。
ペン先の太さは”EF”か”F”の万年筆を選ぼう!
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ペン先の素材について
万年筆と紙の唯一の接点はペン先です。
ペン先の良し悪しが書き心地の良し悪しを決めてしまいます。
なのでペン先の素材は本当に重要です。
ペン先にある程度のしなやかさがないと書き心地がカリカリした硬いものになります。
しなやかな書き心地として、ペン先に金を配合した金ペンがおすすめです。金ペンにも14金、18金、21金と金の純度により種類があります。数字が大きいほど、金の純度が高くなります。
金ペンには書き心地のメリットがもうひとつあります。長年使っていく中で金ペンは書きクセを吸収してくれます。つまり長く使えば使う程、書き手にあわせて最適化されます。
金の純度としてどれを選ぶかですが、14金と14金以上で書き心地にほぼ差がありません。
なので万年筆初心者としては14金の金ペンを選ぶのがポイントとなります。
万年筆は14金の金ペンを選ぼう!
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インクの補充方式について
万年筆はインクがきれたらインクを補充する必要があります。
インク補充方法としては カートリッジ式 と 吸入式 の二種類の方式があります。
それぞれにメリットがあります。
◼︎カートリッジ式
外出先でインクがきれてもカートリッジを携帯しておけばすぐにインク補充ができます。
吸入式よりもインク補充が簡単、かつインクで手を汚すリスクを少ないです。
◼︎吸入式
ボトルインクはカラーバリエーションが豊富で、様々な色のインクを楽しむことができます。
日常で使う事を考えるとインク補充は短時間で簡単な方がよく、この点でカートリッジ式がおすすめです。
また、カートリッジ式の場合にはコンバーターを買えばインク補充方式を吸入式に変えることができます。
つまりカートリッジ式は吸入式にもカートリッジ式にも両方対応できる万能方式だと言えます。
万年筆初心者としてはカートリッジ式を選ぶのがポイントとなります。
インク補充がカートリッジ式の万年筆を選ぼう!
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キャップの方式について
万年筆はペン先のインクが乾くのを防止するためにキャップ内の機密性を重視します。
そのため、ねじ込み式(回転式)のキャップが主流です。
その他に、キャップレスの物やワンタッチ式の物もあります。
確かに回転式の開け閉めは多少手間です。しかし、逆にキャップの開け閉めが書き始め、書き終わりの儀式となり気待ちの切り替えにもなります。
万年筆初心者としては回転式のキャップを選ぶのがポイントとなります。
キャップがねじ込み式(回転式)の万年筆を選ぼう!
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インクフローについて
インクの出る量をインクフローと言います。
この量が書き味に大きく影響します。インクフローが多いほどサラサラした書き心地になり、その逆は硬い書き心地となります。
万年筆初心者としてはインクフローが豊富な方が使い易いとです。
インクフロー多めの万年筆を選ぼう!
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軸の太さについて
万年筆の軸の太さは書き心地に影響します。
長時間にわたり、文章を書くのに使う場合には軸の太い物がおすすめとされています。
逆に日常の中では書いては止まり、書いては止まり、、っという使い方が一般的です。この様な使い方には軸が太いモノは不向きです。
また、手帳とともに携帯する場合にも軸が太すぎると手帳のペンフォルダーに入らないこともあります。
そのため、軸の太さとしては ”細軸” を選ぶのがポイントとなります。
細軸の万年筆を選ぼう!
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万年筆の価格帯を理解する
万年筆の価格は下は1,000円前後から上は100万円越の超高級万年筆まで約1000倍の幅があります。
価格帯をまとめると以下です。
〜10,000円
子供用の万年筆、またはボールペンのように使い捨てる万年筆です。
ペン先の素材は”ステンレス(スチール)”が多く、書き味はあまりよくわりません。
デザインもカジュアルなものが多いです。
万年筆本来の”長年使う”という観点には正直乏しいです。
10,000円〜20,000円
国産メーカーのミドルレンジ品となります。
ペン先の素材は”14金・18金”、ペン先の太さも種類が豊富になります。
国産メーカーの万年筆はコンサバな装飾ですが、質実剛健で長く使えます。
20,000〜50,000円
国産メーカーのハイレンジ品、海外メーカーのミドルレンジ品となります。
ペン先の素材は”14金・18金・21金”、ペン先・軸の太さも種類が豊富になります。
軸の素材にもコダワリがでてきます。
得に海外メーカーの万年筆は装飾性が高く、所有する喜びがあります。
50,000円〜
海外メーカーのハイレンジ品となります。
ペン先の素材は”18金・21金”、となります。
モンブラン等の名の知れた有名メーカーの逸品となります。
更に10万円を超えるともう趣味の世界です。
3万円前後までは機能と品質が価格に比例しています。
それ以上になると装飾性やブランド価値が価格を上げてしまいます。
2万円〜3万円の万年筆が適正適価だ!