カトラリー(スプーン、フォーク、ナイフなど)は日々、数十年にも渡って使います。
それだけに数十年経っても色褪せないデザイン、素材が求められます。
又、食卓の統一感を出すのにバターナイフなど機能に応じた豊富なバリエーションも必要です。
柳宗理 のデザインしたカトラリーにはこれらデザイン要素がつまっています。
偉そうなこと書いていますが、実は10年近く使っている我家のカトラリーが柳宗理デザインだとつい先日知りました!
購入時は他のカトラリーにはない、圧倒的なミニマルデザインが気に入ったのを覚えています。
柳宗理がデザインしたカトラリーの魅力について記事したいと思います。
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photo credit: nado123 via photopin cc
柳宗理のプロダクトの魅了とは何か?
この椅子を見た事があると思います。
これは ”バタフライスツール” という椅子です。
2枚の板を折り曲げてくっつけたシンプルな構造でありながら、複雑な曲線が椅子の機能性だけでなくオブジェとしての美しさにもなっています。
この椅子をデザインしたのが柳宗理です。
photo credit: 準建築人手札網站 Forgemind ArchiMedia via photopin cc
柳宗理は日本が誇るプロダクトデザイナーです。
彼のプロダクトの魅力は、以下だと考えています。
- 何十年も色褪せない永久デザイン
- 思わず触りたくなる、撫でたようなデザイン
- サスティナブルなデザイン
その魅力について更に深堀りしたいと思います。
何十年も色褪せることがない永久デザイン
柳宗理がデザインしたステンレス製のカトラリーシリーズの初版リリースは1974年です。
んん?!、約40年前のリリース?!
なぜこれだけ時間が経った今でも彼が作成したプロダクトが愛され、売れているのでしょうか?
それは彼がプロダクトデザインは時間経過と伴に色褪せる可能性があることを強く意識していたからだと思います。
色褪せることのないデザインを創る信念が製品にも込められているからこそ、40年以上経った今でもそのプロダクトは色褪せることなく皆に愛されているのだと思います。
思わず触りたくなる、撫でたようなデザイン
彼の創りだした製品を 「口で感じる彫刻」 と表現した人がいます。
彫刻!?
でもこの表現は間違っていない。
逆に正しいと思います。
柳宗理はプロダクトを作り上げる時にデザイン画やスケッチは書きませんでした。
徹底的に「手」を使ってものすごい量の試作品を作り、実際に自分でその使い心地を確かめては修正することを繰り返したのです。
彼は人が手や肌で触れるプロダクトだからこそ、「手」を使ってデザインすることにコダワリました。
例えば、スプーンの絶妙な曲線はまさにこの言葉の通り『手作り』により創りだされたものです。
この曲線は手で撫でることで創りだしたデザインだと思います。
デジタルツールでは出せない、手だから出せた曲線です。
サスティナブルなデザイン
”サスティナブル” という単語は、2013年頃から注目され始めたキーワードです。
日本語では ”継続可能な” と訳します。
柳宗理 は晩年、プロダクトに環境に悪影響を与える素材は絶対使いたくないという立場を貫いていたそうです。
ゴミの排出による環境破壊を続けることで、人間の生活が永続的には続かないことを予見していたのだと思います。
又、上述の”色褪せないデザイン”についても、半永久に使えるデザインをすることでゴミの排出が減ること目指していたとも思います。
昨今になりサスティナブルな社会に重要性が語られるようになってきましたが、それよりずっと前に柳宗理なそのことに気付き、デザインに取り入れていたのだと思います。
柳宗理デザインのカトラリー
柳宗理デザインの代表的なカトラリーを紹介します。
テーブルスプーン
最もよく使うテーブルスプーンです。
素材 及び 表面加工 についても永く使える配慮がされており、素材としてはツヤ消しのステンレスが使われています。
そのため、長年の使用でついた傷もほとんど目立ちません。
ちょうど持った部分より少し後ろに重心がくるため、モノをすくった時にバランスをくずすことがありません。
横から見るとその複雑な3次元な曲線にコダワリが感じ取れます。
先端部分は薄く、後半部分が深くなっているため ”すくいやすく” かつ ”一度すくったものをこぼしにくい構造” になっています。
パスタフォーク
通常のフォークと比較してパスタを絡めやすいようと切り込みが深くなっています。
又、パスタソースをすくえるようにフォークの腹部分のくぼみが深くなっているため、パスタとパスタソースを同時にすくって食べることができます。
テーブルナイフ
曲線が最も美しいと私が思っているカトラリーです。
普通のテーブルナイフよりも、幅広となっています。
これには意味があります。
ナイフとして切るだけでなく、ソースやバターなどをパン等にぬったりする用途(つまりバターナイフとしての用途)にも使えることを見込んだデザインとなっています。
デザートフォーク & スプーン
本来はデザート用のフォークとスプーンですが、我が家ではこれを子供用のフォーク、スプーンとして使用しています。
サイズとしてもちょうど子供の手にジャストフィットします。
興味深いのは幼児専用ではないのに、こぼしたりすることなく子供が使いこなせる点です。
上述のテーブルスプーン同様にすくいやすく、こぼしにくい構造が功を奏していると思います。
又、フォークについては先端部分の切り込みがデザート用のため浅いため、口にもっていった際に食べ物を取り離しやすいという利点があります。
柳宗理 の興味の出た方は以下のムックで更に彼のプロダクの詳細やデザインについて知ることができます。